鳩山由紀夫首相の辞任に、米軍普天間飛行場の移設問題を抱える沖縄県では「これでけじめはついた。ようやくスタートラインに戻った」との声が出る一方、水面下では「今度は反民主党政権をターゲットにした反対闘争が激化するのではないか」というとまどいも広がった。
県政関係者は「鳩山首相が、沖縄県民の気持ちをふみにじってしまった責任もとって辞任すると表明してくれていれば、県民も振り上げた拳の落としどころがあった」と苦笑しつつも、「民主党も決して一枚岩ではないから先は見えないが、次期政権がどう移設計画を実行していくかにかかっている」と指摘した。
また、保守系県議は「日米共同声明を出した以上、キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市辺野古)以外への移設はありえない。沖縄県民も冷静にならないといけない。普天間移設は県民の悲願である米軍基地の縮小につながる第一歩のはずだ」と述べ、県民にこうメッセージを発した。
「本土復帰から38年、われわれには日本の安全を守ってきたという誇りがあるはずだが、忘れてしまっている。大事なのは一刻も早く、普天間飛行場を移設して危険性を除去し、跡地の開発を考えることだ。再開発には30年以上はかかるといわれている。現実的な対応を早く考えないといけない」
一方で、次期内閣発足後も、沖縄の反基地世論を牽引(けんいん)してきた反米・反基地イデオロギー闘争グループが反民主党政権で活動を活発化させ、一般県民を巻き込むおそれもあるという見方もある。県民の間では「メディアでは報道されないが、基地反対闘争を展開している人の話を聞いていると、本当に県民のこと考えているのか疑いたくなる」(タクシー運転手)という声も根強い。
夏の参院選では、普天間飛行場の県内移設の是非が改めて争点になるのは必至だ。県政関係者は「活動家グループの動向は(選挙戦に)影響を与えるだろう。結果次第では政治構図が変わる可能性もある。苦渋の選択を続けてきたことに誇りを持ち、空気に流されてはだめだ」と語った。
ある首長経験者は「(県民は)実現の見込みが薄いスローガンに惑わされることなく、先祖に誇れる国造りを考えることが先決だ。次期政権には国防問題も含めて県民と関係を密にしてもらいたい。沖縄も正念場に立たされている」と話した。(宮本雅史)
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